「弱小チームの三角形」 〜同僚をリスペクトする技術者が、最後に全員を幸せにする話〜

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今日も実験室やデスクの前で、孤独に戦う技術者の皆さんへ、私がかつて体験した「本当の奇跡」の物語を贈ります。

皆さんは今、自分の周りにいる同僚や後輩を、心から「リスペクト(尊敬)」できているでしょうか。 「あいつは学歴が高いから」「あいつは頑固で扱いづらいから」と、どこか心の壁を作っていませんか、大丈夫ですよね。

さて、かつて私は世界最強の巨人・TI社の卑劣なネガティブキャンペーンを科学の力で殴り倒したとき、私たちチームの手元にあったのは、数千億円の予算でも、最新鋭のAIでもありませんでした。 あったのは、「お互いの専門性を100%信じ、自分の得意領域で貢献する」という、たった10数人弱の泥臭いチームの絆(行動哲学)だけだったのです。


1. 「砂漠の中から一粒のダイヤを探す」ような絶望のスクリーニング

TI社の「液晶は有機物、光と熱で壊れる」というネガティブキャンペーンを破るための鍵が、「カップリング剤による表面修飾技術」にあることは分かっていました。

しかし、ここからが本当の地獄でした。 プロジェクターのランプから放たれる光は、強力そのものです。並の分子構造では、その強烈な光の波長(エネルギー)を浴びた瞬間に、分子の鎖がズタズタに引きちぎられてしまいます。 数ある化学物質の中から、「この凶暴な光の波長を、涼しい顔して受け流す(いなす)ことができる特殊な分子構造を持ったカップリング剤」を見つけ出さなければ、私たちの負けが決まります。

その途方もない、気が遠くなるようなスクリーニング(選別)作業に、文字通り命を削って挑んだのが、生粋の現場技術者、「SEKIさん」でした。

SEKIさんの凄さは、その執念にありました。 何百、というサンプルを作り、強烈な光を当て、壊れ、また次の物質を試す。気の遠くなるような暗闇の作業です。普通なら心が折れるその過酷な実験を、SEKIさんは「絶対に未来を切り拓く」という、執念だけで回し続けました。そしてついに、水分を完璧に弾き、光の波長をいなす「直鎖基」のついたカップリング剤という奇跡を見つけ出したのです。


2. 執念のデータを「最強の武器」に変えた、データバンクの天才

しかし、SEKIさんが命がけで集めた生データも、ただ散らばっているだけでは会社を動かす武器にはなりません。ここで、もう一人の天才が重なり合います。静岡大学の修士課程を修了し、極めて明晰な頭脳を持つ「技術者さん」です。

彼は、SEKIさんが日々叩き出す膨大な実験データ、そして製造現場から上がってくるあらゆる変数を、その緻密な頭脳で整理し、完璧な「人間データバンク」へと昇華させました。

「あの物質をあの温度で処理したときの挙動は?」と聞けば、瞬時に完璧な答えと、その背景にある物理・化学のロジックが彼の口から返ってくる。SEKIさんの「現場の執念」と、彼の「緻密なデータサイエンス」がガチッと噛み合った瞬間、私たちのチームの技術は、もはや他社が1ミリも追いつけない領域へと突入していきました。


3. 「自分の得意」で組織に貢献する、という幸福のループ

現場の神様(SEKIさん)が道を切り拓き、静大修士の天才が強固な城を築く。 では、その中で「私」は何をしたのか。

私は、彼ら二人の天才性を誰よりもリスペクトしていました。だからこそ、「二人が命を吹き込んだこの最高の技術を、絶対に『実験室の盆栽』で終わらせてたまるか。何が何でも本物の量産ラインに乗せて、世界一の製品にしてやる」と心に誓ったのです。

私の得意領域は、「外の世界の修羅場」の知見と、それを量産へとデリバリーする突破力でした。だから、何の権限も持たない身でありながら、上流の生産能力を予測し、メーカーに勝手に直談判して3億円の装置を裏で設計してもらうと言う、クビをかけた「越権行為」に走ることができたのです。

「自分を他人の優秀さと比較して、嫉妬したり腐ったりする」のは、一番もったいないことです。 そうではなく、「仲間の専門性、キャラクターを認め、彼らが作ったバトンを、自分の得意な方法で次のステージへ繋ぐにはどうすればいいか」を考えると、なぜか仕事は円滑に進みます。

この行動哲学が回り始めたとき、プロジェクトは大成功を収めました。 それだけではありません。私たちは世界最強のTI社を退け、会社にその後、年間数百億円の利益をもたらし、私たちの部署は社内で最も輝く「伝説のチーム」になりました。

何より、一緒に汗を流したSEKIさんも、データマスターさんも、みんなが社内で高く評価され、エンジニアとしての最高の誇りと、物心両面の幸福を掴み取ることができたのです。


現在悩めるあなたへ

技術の本質を見極めるのは、一人ではできません。 あなたが今、職場で孤立し、苦悩しているなら、どうか隣にいる同僚をもう一度よく見てみてください。あなたにないものを持っている仲間が、必ずいるはずです、隣にも、後ろにも、向い側にも。

指示を待つ「受け身」を少し辞め、仲間の才能をリスペクトし、自分にしかできない方法で能動的に組織へ貢献し、次へとつなぐ。

お金(お給料)を稼ぐために働くのは、社会人として当たり前です。でも、「自分が能動的に動いたことで、大好きな仲間たちが全員売れっ子になり、みんなで一緒に幸せになる」という経験。これこそが、サラリーマンという働き方の中で得られる、最高に贅沢で、一生消えない本当の財産だと、私は確信しています。

テック寺は、あなたの第一歩を、いつでも応援しています。

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